神奈川県工科大学KAIT工房

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神奈川県工科大学KAIT工房
設計:石上純也

「曖昧な空間」が本当に曖昧なのか疑っていたけれど、行ってみるとやはりわかってしまい感じてしまう。ああ。新しい空間との実感と出会いと共に、どこか記憶の隅にあったようなところへ連れ去る。
もっと可愛い空間かと思ったら、なかなかビシッとしている。天井高は4000~4600。1/75のこう配屋根は内部にいても殆どわからない。わずかに歪んだ平面も意識してもわからない。意識の中では感じとれないけど、恐らくこれは、無意識の内に感じている身体感覚に作用しているのだと思う。それが「曖昧な空間」への招待状となる。僕は、その無自覚にばら撒かれたような、星座のように結ばれているはずの空間の中をパラパラと歩き、終わりも始まりもないところを浮遊する。どれもが同じに見え、どこもが違う場所と感じているその場所を浮遊する。
設計者は言う。
「何となくうまくいっている、というようなすごく柔らかい結論のぼんやりしたまとまりの空間です。建築家の意思で意図的に空間をつくり出しているにもかかわらず、何で決まっているのかわからない。構造なのか、機能なのか、意匠なのか、その根拠の境界さえあいまいになるとよいと考えていました。」(新建築2008/03/p72)


石上さんの文章を読んでいると、ここまで白状してしまうのかと思うぐらいにストレートで、逆に度肝を抜かされる。とてもピュアで。
学生のときは先生に理解されずに成績は良くなかったと聞く。
本当は、もっと内的で他者からは理解しにくいことを考えているのだろうか。
それは星座のスケッチから十分伺わせられる。この曖昧な空間をつくるために、はたから見て実戦的と思えるかいなかよくわからない操作と調整が重ねられ、曖昧な結論に達する。そのプロセスでさえ僕にはまだ到底理解を越えるものがあるわけだけれども、しかし、どんなことをしたって建築家は最後には建築物をつくる。その建築を創った結果、そこを経験することという、この一点にだけ、この建築の命運が問われることになった。それが、石上さんの言う「リアリティ」であり、それ以上でもないしそれ以下でもない答えなんだろう。現代考えなければならないことに対する答えだけではなく、それは石上さん本人に向けた答えでもあった。

石上さんのリアリティに顔面パンチを食らった僕は、しっぽをまいて工房を後にしました。いやしかし、夜の工房もまた一味違いそうで見てみたいと思う。また今度。




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やたらとキラキラと輝くガラスがとても印象的だった。日陰からは内部がよく見え、鋭角に視線が入ると景色を映し出す。一部石上さんが選んだカーテンが釣り下がっていた。カーテンからも内部は透けて見えている。
大きなガラスの箱が不思議と心地よい。
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by tokup_nao | 2009-07-03 00:56 | 建築 | Trackback | Comments(6)
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Commented by chebi-chi at 2009-07-03 09:14
うわー行きてー!
「また今度」に誘って下さい。。
Commented by tokup_nao at 2009-07-03 23:47
へへ、いいだろ。
夏休みにでも行きなされ。
Commented by りんたろう at 2009-07-06 00:07 x
僕は、建築よりも、一番下の写真の女の子が気になりまふー
Commented by tokup_nao at 2009-07-06 02:02
製図室に行くと最近この子は集合住宅の設計をしていますー
Commented by bau at 2009-07-12 04:31 x
先生はエネルギー負荷の話をしてたけど、石上にとってはそんなことはどうでもいいんだろうね。
オレも本で「ぼんやり」と言っているのを知ってたから、色々感じながら見てたけど、結局は計算されているようにしか感じられなかった。つまり、柱は柱でしかないといういこと。
自分の期待が高かったせいかもしれないけど、ぼんやりとつくっても結局、今までの建築という枠から抜け出せていないと思ってしまって、少し残念だったかな。
Commented by tokup_nao at 2009-07-13 02:17
おお、bauは厳しい評価ですね。

柱は縦方向に抵抗する柱と横揺れに抵抗する柱だけど、行ってみたら結構それが見てすぐわかるのが意外だった。パコッと叩いたらブリンブリン揺れる柱。俺はそれが今までの純粋な柱とは距離を持ったものに見えた。こんなブリンブリンする柱は今までに見たことなかったから(笑)
もし日本以外の地震がない国だったら、柱のバリエーションがなくなってしまい逆につまらない空間になってしまったのかもしれないのがまたおもしろい。不利な状況を逆手に取ったということで。
みんなで行ってみて、心地よいと感じる人もいたけど、どうもなあ・・・とも思う人がいる。それはそれで大変結構。でも、石上さんの感覚だから・・・で終わらせるのはだめ。どうしていいのか。どうして良くないのか。歴史でも配置・構成でも構造でも、何かしらの明確な理由をきっちり述べなければ何がいいのかわかんなくなっちまう。最近そんなことを指摘され、それは危ないなと自己反省しております。はは。

またみんなで観に行きたいです。


tokup.nao@gmail.com


by 徳田直之 (Naoyuki Tokuda)

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