TARO NASU
2009年 06月 05日
TARO NASU
設計:青木淳
馬喰町に建つ古いビルの改修。いかつい窓枠に宙を舞うRCの梁。なんだか元々の建物が怪しさ満点のビルでした。ファサードの大理石の目地がずれていて、高級な大理石が綺麗に収まっていないのが、何やらアイロニカルな表情を持つ。歩いていると、突然白い塊がビルに突っ込まれているような。ちょび出た配管を尻目に、そこにズルズルと引きずり込まれていきました。
中の間取りは変。使いにくさを面白さに変えている。事務所が細長く、ギャラリーは天井が高いため窮屈には意外と感じない。真中にソファーでも置いてもいいじゃないかと思うくらいに。左右対称に近いためか、並んだラーメンの柱がとても象徴的な効果を発揮している。梁との接合部の斜めになっている部分が可愛らしくさえ感じる。
階段の独特の蹴上げと踏面からのゲージラインから導き出されたピン接合の鉄骨とその灰色もいい。地下への挿入口としてしっくりくる。
このときはジョージェ・オズボルト(Djordje Ozbolt)の展示がやっていました。ダーク・ロマンティシズムと呼ばれる彼の作品は、ハイカルチャーとロウカルチャーを対等に作品の要素として扱う。とても知的でふざけた絵。彼が吐き出す悩ましげな矛盾と混沌は、妙にこの空間に、もっと言えば、この時代にしっくりきていた。
古い建物の各要素のボキャブラリーを再統合して、どこにデザインを持ってくるのか入念にスタディされた知的な面白みがある建物。気にしなければ気にならない。よく見ると、噛めば噛むほど味が出てくる。
川越の設計も既存をこちらの手のうちに持ってきたい。こっちこーぃ。
このビルにはTARONASUの他にも三つほどギャラリーやおされカフェが入ってます。また行きたい。
by tokup_nao
| 2009-06-05 01:50
| 建築
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