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by 徳田直之 (Naoyuki Tokuda)
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Hゼミ中間エスキス

今日は朝からゼミのエスキスでした。

今和次郎研究は相変わらず続いているわけです。

G先輩と二人で徹夜して一気にまとめ上げました・・・。久しぶりに時間と戦いましたよ。ははは。

目黒や新橋の行き交う人々をこと細かくスケッチしたものを中心に発表しんですけど、

まあいつものことながら発表してて、自分は相変わらず説明が下手だなと感じつつ(ブログを読めば一目瞭然だが)気合だけは十分にエスキスを見てもらって、今回は久しぶりにいい手ごたえでした。三月終わりの発表にどうにかいい道が開けそうです。


今和次郎を研究していると、どうしても人間の環境行動学に行き着く。
電車の座席の真ん中の色が違ったり、席の間にへっこみが付いていたりして座り方を促していく。主体から対象へとは逆の働きかけ、つまり対象が主体にアフォードしていくような考え方。アフォーダンス論である。

進化論で有名なダーウィンが実はアフォーダンスの基礎と言われている。
ダーウィンは心的状態が非常に単純な動物にも、そしてもしかすると植物にさえも発見できるかもしれないと信じていた。彼の哲学にも及んでいた生物学の考え方は、アフォーダンスの提唱者ジェイムズ・J・ギブソンの弟子でもあるエドワード・S・リードのダーウィン研究で明らかになった。今になってダーウィンの価値ある側面が多々見つかるのは彼が弟子を持たない主義であったせいもある。

またギブソンと同じ年代でアフォーダンスと考え方が近い、メルロ=ポンティの「知覚の現象学Ⅱ」やラカンの鏡像段階理論や擬視論などが上げられる。
また、ギブソンは『生態学的視覚論』はコフカの『ゲシュタルト心理学の原理』を引用しており、コフカもアフォーダンスの基礎と言われている。
アフォーダンスをデザインの領域で使っているD・A・ノーマンの『誰のためのデザイン?』も抑えとくべきだろう。
もっと範囲を広くするとアルチュセールの「イデオロギー的国家装置」と関連づけられる。

そんな柔軟に軽やかに多分野を渡り歩くアフォーダンス理論だが、日本でのアフォーダンスの基礎は誰かと言えば、それはもう今和次郎先生である。
人と物の関係、またその物自体への執着心と観察力は半端なものではない。あそこまでの洞察力は現代になってもいまだ誰にも破られていないと確信できる。

今和次郎を研究すればするほど、この人がもっと高い評価を受けていてもよかったのではという疑念が加速されていく。


僕の研究で少しでも今さんを斬新に再評価できるような視点が見出されたらと願うばかりだ。
by tokup_nao | 2008-03-08 00:49 | 建築 | Trackback | Comments(0)