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建築設計事務所の仕事の様子と雑談を綴っています。


by 徳田直之 (Naoyuki Tokuda)
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『川崎駅東口駅前広場』を訪れて

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2011年の竣工だったが、初めて訪れた。
デザインアーキテクトとして安田アトリエが入り、設計は日建設計シビルの川崎駅東口駅前広場。

アルゴリズムによる幾何学パターンのセラミックプリントを施した強化合わせガラスの大屋根。この覆いによって、木漏れ日のような光を落としつつ、冬場の冷たいダウンブローから地下街を守る役目を持っている。

『川崎駅東口駅前広場』を訪れて_d0086747_19545821.jpg

地下への階段の真上にある宙に浮くガラス屋根はφ25のスチールのタイロッドで吊られて、鉛直荷重のみ吊りで持たせて、水平荷重は独立して基礎に伝えて、大屋根に比べ固有周期の短くしていた。
構造の面白さがそのまた意匠の表現になっていた。


『川崎駅東口駅前広場』を訪れて_d0086747_19324941.jpg

元々ギザギザのガラス屋根があった地下へのヴォイドは、ガラス屋根、有効折板、反射率の高い石タイルの構成で光を柔らかく地下へ届くようにしていた。


『川崎駅東口駅前広場』を訪れて_d0086747_19514201.jpg

遅い時間になるとストリートミュージシャンが大屋根の下で歌っていた。
屋根に反射してよく響き、川崎駅のエスカレーターを登るところまでよく聞こえた。

この屋根ができた最大の効果は、大きくなった駅にそれに合う大きな門ができたことだと思った。
地下への雨風を凌ぐ為なら大屋根は必要ないけど、駅の顔としては、それだけでは足りない。バスやタクシーにもある程度濡れないでアクセスしたい。
この大きな屋根は、経済的な数値には置き換えられないけど、川崎駅東口をかなり華やかにしてくれているし、川崎周辺に活力があるのもこの屋根が一役買ってくれているようにすら思えてくる。

毎日使う駅が綺麗な場所であることが、その街にどれだけの豊かさをもたらすのか、今一度考えてしまった。

by tokup_nao | 2024-04-25 22:31 | 建築 | Trackback | Comments(0)