大多喜町の改修が完成
2023年 12月 10日
『ゆらぎにふたをしない』
Somato(渡邉 純矢)が設計した大多喜にある住宅改修をみてきました。
寄棟の瓦屋根の本家に、片流れのガルバの屋根が増築されています。
接続部には透明の屋根の空間が挿入されて、古いものと新しいものの接着剤のような役割をしていました。
本家はリビング&和室と水回り、増築棟は寝室。接続部は光の空間。
建築の構成が、グラデーションのある生活に明快な補助線を引くことで、それぞれの場所の役割が浮き立つようでした。
生活の中でオンとオフを切り替えるように、役割の違う場を軽快に行き来するような豊かな光景が想像できます。
ただ、改修の現場は始まってみると、設計者の意図しないことが起きるのが常です。
天井を落とすと取れないものが出てきたり、取れる柱と取れない柱があったり、隠したいけど隠れないものがあったり、古いところと新しいところの水仕舞いが難しかったりと。。
そばで設計者の試行錯誤とその過程をみていて、自分でもどうするかなーと判断に迷うことがありました。
こうしてできたものをみると、その新旧の部分の衝突で起きた解決策や妥協点は、当初は意図していない後からの産物だけれど、逆にそこが改修の醍醐味として空間のアクセントになっているようでした。
なんだか、鬼化したりしなかったりする禰󠄀豆子のゆらぎが鬼滅の刃という物語のペダルを左右に動かし進めていくように、改修の新旧の部分の衝突で起きるゆらぎの集積そのものが、空間を形作っているようで。
だからむしろ、そのゆらぎにふたをすることなく、それこそがこの改修のチャームポイントだし設計者の個性が出てたのかな、と完成して思うのです。
竣工写真楽しみにしています。
竣工おめでとう。
by tokup_nao
| 2023-12-10 09:38
| 建築設計
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