森美術館の「カタストロフと美術のちから」展を観て
2019年 01月 06日
カタストロフ(catastrophe)とはフランス語で、「大きな破滅、破局」という意味。つまり、災害のおけるアートがテーマの展示でした。
復興するときに、臭いものには蓋を捨てしまう人たちがいる。そうなると、災害の記憶そのものがなくなってしまいかねない。アートにはそれをずっと残し続けるちからがあると思わせる展示だった。
展示の説明でもあったが、美術は直ぐに効く特効薬にはならないけど、長期的に見てみれば効果がある。災害が起きた時には、小さな時間軸と大きな時間軸の両方でどうして行くべきか考えなくてはいけない。
怖いものが、綺麗に見えたり、またその逆があったり。9.11の瓦礫の風景がパズルのピースになっていたり。綺麗な色の石鹸のいい香りの通路が、実はポーランドの抱える問題を象徴していたり。
ある物事に対して、感じるアプローチや回路を少し変えるだけでも、こう胸に突き刺さるものに変貌してしまうのが不思議だった。その不思議な強さがアートの存在理由であって、いつまでも考え向き合いたくなる奥行きが感慨深かった。
また、久し振りに現代アートに触れていいなーと思ったのは、鑑賞者の表情。色々な年代や国の鑑賞者それぞれが作品と向き合い考え耽る姿を見ていると、この鑑賞者あっての美術なんだなーとしみじみ。
森美術館でなければこれ程の作家を呼んでこんな展示はできない。展示期間は2019.01.20まで。豪華な世界の現代アーティストにいっぺんに触れられる貴重な機会。是非、足を運んでみては!
by tokup_nao
| 2019-01-06 16:32
| 美術
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