手塚さんの『勝林寺納骨堂』を訪れて

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オープンハウスがやっていたので見てきました。
最近の手塚さんらしい木造現し架構シリーズの延長です。

外から見ると二階にも見えなくない、でも二階にしては上がちょっと狭そうな、不思議なプロポーションをしています。屋根をもうちょっと高くしたらつまらない建物になってしまいそうです。これは寺ということもあり、五重の塔や東大寺で見られる表現なのかと思います。だから、古きに敬意を払いその延長で新しさを提示する。ストレートでカッチョいい建築だなと思いました。小手先感が全くないTHE手塚建築です。
赤く塗ったらもっと寺感が出そうです。
中に入ると二階に見えた部分がガッツリ構造部分であることがわかります。使われる構造材の寸法の種類が極端に絞り込まれてるので、大きな断面でもうるさく感じさせない気がしました。構造はTIS & PARTNERSの今川憲英さんで、金物が見えずシンプルでミニマムで、手塚さんとの相性抜群ですね。

手塚さんの最近の建物はどれも20年後にはもっと良くなっているんだろうなと思います。恐らく、今まで自分の作ってきた建築がどんな使われ方古び方、時にはわずかなクレームを貰ったりしてそれらを経験したからこその今の表現でもあるんじゃないのかなと思ってしまいます。
知識としてわかってるのか、経験としてわかっているのかは雲泥の差だと思うんです。

また、前までの住宅群はふじようちえんも含まれるけど、構造体を見せることはなかった。それは木の仕上げと構造体に使われていた鉄の箇所の相性が悪かったからだと思う。今は構造体も木でしているから構造体が表出した。
鉄鋼造でサッシが鉄だと鉄を見せることもあったね。リチャードロジャースは鉄でまとめるけど、最近の手塚さんは木でまとめるね、と安易な解釈をすることもできそう。
木造の住宅で開口部を大きくしたいからそこだけ鉄骨を入れるとか、やりたいことはわかるけど厳密に言うとあんまりピュアじゃない。木造の建物なら全部木造でやりたいところなんです。本当は全部木で作りたいはず。だから、最近の手塚さんは鉄骨を入れれば大きい開口部が作れるところを木で組んだりして試行錯誤しながら開口部をつくる。そこまでしてなんで木にこだわる・・・?全部木だと何がいいか。それは、構造体を惜しみなく見せれる。表裏の無い建築になる。建築としてピュアになる。実はこのピュアになるかどうかが建築の寿命に大きく関係してくるんじゃないかなと思っています。ロジャースの建築も表裏がない気がします。嘘やごまかしがない建築。

最近の嘘やごまかしがない手塚さんの建築は時間に対して大きく放物線を描いて越えていけそうな説得力があります。

この寺のような建築。しかも納骨堂。

見れば見るほど、訪れるとなお更、現代建築が対峙する経済至上主義の螺旋から飛び出していけそうな、一つの突破口を切り開いてくれそうな希望を感じずにはいられないのです。

菊竹さんの出雲でさえも永続できなかった。
モダニズムの建築が次々と死刑宣告されるのをただただ眺めているだけじゃ悔しいもんね。
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by tokup_nao | 2016-12-24 08:00 | 建築 | Trackback | Comments(0)
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by 徳田直之 (Naoyuki Tokuda)

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