チェンジ!エコロジズム・センス!!

ネイチャー・センス展/森美術館
2010年7月24日~11月07日

たとえマルクス主義が死んでも、裸の王様は、新しい服をまとって、
われわれに取り憑きつづける。          ギ・ソルマン




ネイチャー・センスという柔らかい言葉の題目。日本人による日本の自然が表現された。
nature sense。直訳すると自然感覚。
私たちがいう「自然(しぜん)」は19世紀末に輸入されたNatureの訳語として採用されましたが、日本にはもともと自然(じねん)という考え方があって、「自ずから然(しか)らしむ」、「あるがままの状態」を意味します。これは「無為自然」に起源をもつ親鸞や道元などの仏教的な思想から来ています。Natureの訳語としての「自然」も、日本では人間と対抗する野生や原生林といった自然ではなく、人間もその一部である森羅万象、天地万物すべてを包含するより広い対象を指しているといえます。
とキューレーターの片岡真実は森美のブログで話す。つまり自然感覚の発見は、そのまま日本のナショナリティの発見に重なっていく。展示を観ていくと、不思議と日本の美意識に訴えかける感覚がするのもそのはずだ。
展覧会を見ながら、私なりの回答のカギが浮かび上がってきた。それは「見守る」あるいは「待つ」という言葉だった。(中略)自然現象が一つの形をとり、それが元に戻るまでの時間の流れ、循環に心身をまかせるということ。それが太古から森で暮らしてきた日本人の、自然との関わり方であるような気がする。
ライターのreikoimamuraさんが自身のブログで感じられたこともそれをよく表している。





吉岡徳仁。
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やはりプロダクトデザインの畑を強く感じさせる作品になっている。職人気質というか、内的こだわりを突き詰めてある共有感覚の次元に達するものだ。



篠田太郎。
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都市のカオスやそこに生活する人間・文化を含めて自然を見渡す視座を与える。流れ出る赤い液体は性を連想させる。自然と動物の同化。とめどもなく流れ続ける生の総体が見えてくる。



栗林隆。
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地球の一部が山で、山の一部が林で、林の一部が実際に訪れた人たちで・・・。実際に自然の縮図を展示してみせた。神業だ。



最後を締めくくるのは、カメラマンの志津野雷とミュージシャンNAOITOとWAWAWAで活躍のチュンが、栗林隆のYATAIとのコラボレションしたYATAI TRIPだぁぁぁぁ!!!!!
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KOREA YATAI TRIP 01-16 まであるので全部見てほしい。そして僕たちも何かやらなきゃ!!と考えるきっかけになればいい。

たとえマルクス主義が死んでも、裸の王様は、新しい服をまとって、
われわれに取り憑きつづける。          ギ・ソルマン

ジジェクはソルマンの言葉を借りて、現代を批評する。裸の王様とは、人間の利己主義を、新しい服とは今のエコロジズム・歪んだ自然の捉え方を指す。自然がナショナリティと重なると書いたが、この展示の最後は、韓国と北朝鮮の国境の旅で締めくくられた。これは偶然ではない。ネイチャーセンスが行きつく先は、違う国同士の摩擦に行き着く。逆に言えば、他者との相互関係の中で、よりネイチャーセンスが浮き彫りになっていく。自国への問いは隣国への問いである。答えではなく、問い続けていかなければならない問い。

資本主義ははじめて意味を解体した社会・経済制度である。

食い縛った歯から押し出すように語られたであろうジジェクの言葉に沿って、僕らはもっとあらゆる意味を考え抜かなければならない。その初めに、この展示でネイチャーの意味を思考することは、現代の状況を打破する大きな活力の源泉となるに違いない。
by tokup_nao | 2010-08-05 00:39 | 美術 | Trackback | Comments(6)
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Commented by higher_08 at 2010-08-07 01:33
こらこら、写真公開のルールは守らないと。白黒加工も多分NGだよー。

俺も山に激しく感動しました。凄い。
Commented by tokup_nao at 2010-08-07 08:50
トイカメラだから大丈夫だよ^^ 
http://www.loftwork.jp/blog/chiaki/2009/07/post-159.html

展示者は三人ぐらいがじっくり楽しめるし、それぞれテーマに対して比較できるしいいなと思ったよー。
Commented by higher_08 at 2010-08-07 23:18
ん、バナー貼付けが必要なんじゃない?

俺も写真撮ってたけど周りがシャッター音やらフラッシュガンガンで結構きつかったよ笑 まだまだ試験運用だねー
Commented by tokup_nao at 2010-08-08 14:05
ああそうなんだーー。ご指摘ありがつーー。次から気をつけまする。

国によっては作品に触れられるとこもあるね。彫刻とかは触ってこそ良さがわかるものだし。森美もそうなればいいのに。
Commented by りんたろう at 2010-08-12 02:00 x
記事と全く関係ないけど、ジジェクのラカンの入門書が面白いよ
Commented by tokup_nao at 2010-08-12 22:18
ジジェクの本は今ちくま新書の『ポストモダンの共産主義』と格闘中です。びびる程おもしろい。てか普通にジジェクはラカンから読むのがベターだよね・・・。次読んでみますー。


tokup.nao@gmail.com


by 徳田直之 (Naoyuki Tokuda)

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