赤い底
2009年 12月 22日
赤暗い底に階段がつづいていた
壁に張り付いた数え切れないほどの目
障子に一つ一つ丁寧にくっ付いているかのような目
気にはなるけど
気にしないふりをしながら下っていく
カツーン カツーン
ハイヒールが思った以上に谷間に響き渡る
みんな私を見るがいいわ
風がびゅうびゅうと唸りを声を上げる
カツーン カツーン
風が入ってくるなと言っているかのように
下に行けば行くほどホコリっぽいかと思ったけど、
むしろ逆で、下れば下るほど、無機質な空間に連れてこられたかのようだ
カツーン カツーン
ヒールの音が壁に跳ね返り、また戻って聞こえる
それが重奏を奏でるようで、あの目達はみんなその音に聞き入っているのか
カツーン カツーン
自分ではない誰かが歩いてこちらに向かってくるかのような錯覚
足を止めると、もう一人のヒールの主も少し遅れて足を止めた
まだ底には辿りつきそうにない
少し階段に座って休むことにしよう
見上げると、空は遠く
私もあの目の一部になりそうだ
始まりも終わりもわからない
宙ぶらりんな自分が、少し心地良く感じる
by tokup_nao
| 2009-12-22 02:15
| 建築設計
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