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by 徳田直之 (Naoyuki Tokuda)
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MARHIのディプロマ

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僕がモスクワ建築大学(MARHI)に交換留学に行ったのは九月の一か月間で、丁度学校では卒業設計の展示がやっていた。
おそらく、向こうの評価基準はよくわからないけれど、建築単体の設計も勿論多かったが、アーバンデザインとしてビッグスケールのものが多かった。おそらく、高度経済成長の中でこれからそういった巨大開発が求められてくるという期待感からであろうか。実際にセントピーターズバーグの郊外では中国の建設会社がとてももいいと言えないデザインでどでかい集合住宅をつくっていたり、モスクワ中心部から20km離れたばしょでもバンバン高層マンションが建っている。その勢いを見てしまうと、これから仕事は山のようにあるのだろうなと思う。
でも、どの学生もとても硬い印象を受ける。建築っぽ過ぎて、日本の学生の卒業設計を見る感覚で見てしまうと、どれもとてもバランスが取れ過ぎていて優等生過ぎる印象を受ける。それも、評価基準の違いからであろうか。ソフトな提案がなさそうだとも感じる。残念ながらロシア語が読めないので説明は読めなかったが。形もヨーロッパの二番煎じのような、たまに日本っぽいのもある。手は動くけど、ロシア独特の建築が発見できなかったのが残念であった。もっと構成主義の息吹がかかったものが見たかった。
建築教育のベースはしっかりしていて、伝統的とも言える。1、2年生は静物画からギリシャ建築のオーダーの詳細な影の落ち方の模写から始まる。そこにここ近年で学生の間でもパソコンを持つようになり、CGソフトが瞬時に広がったのが今の状況だ。今使われているモデリングソフトはMAXであった。もう大流行という感じで、どの作品も表現だけで見るととても似ていた。MARHIの学生がCGの操作性を獲得し過ぎて飽きた頃に面白くなってくるのかなと思う。CGに流れが完全に行ってたせいか、模型の表現はお粗末なものであった。
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ここでは、その中でも優秀だろうと思うものを載せます。

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↑隈さんの蜂の巣劇場のもっとデカイ感じ。
インフラと集合住宅をドッキングして考えたもの。現在のモスクワの機能不全に陥ったインフラへの問題意識をとても感じる。生活を変えていきたいという強い思いが伝わって来る。勇気と元気が溢れる作品。でももうちょっとこの形だからできるいい展開の仕方・広がり方があれば良かったのにと思う。僕の中ではこれが最優秀賞。べつに手が器用でなくていい。新しいビジョンを提示して何かを変えようとする意思が大事。表現することと提示することを履き違えてはならない。

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↑六甲かな?

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↑僕個人の趣味では雰囲気が好きであった。形が自由なのに、その自由な形態が構造に生かされてないし、てか柱をグリッド載せ過ぎだし、内部が柱多過ぎの空間になってしまって使われ方がよくわからないしそれがプレゼンテーションされてなくて残念だと思う。恐らく、余り断面を考えていないのだと思う。平面的であり、外観パース的でもある。ロシアの学生は内観パースは余り撮らないと言っていたのも印象的だった。外観を如何に見せるかは評価の大きな基準でもあるようだ。でもな、もうちょっと提案としてやらかそうよと思う。学生なんだからね。


↓廊下にあった今までの優秀賞?のようなもの。
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by tokup_nao | 2009-10-01 21:26 | 建築設計 | Trackback | Comments(0)